舌の異常、痛みについて

ところで、皆さんは舌の存在を意識したことがあるでしょうか?舌は話したり、食べるときに無くてはならないものです。焼肉の「タン」を食べたことがあればわかりますが、食感がとてもコリコリしています。これは、舌が筋肉のかたまりだからです。舌は赤ちゃんの頃、お乳を飲んでいるときは主に前後の動きしかしませんが、離乳食・普通食と進むにつれ複雑な動きができるようになります。食べたり、話す時は唇・頬・歯と共働して舌はお口の中で大活躍しています。縁の下の力持ちといったとこでしょうか。

さて、舌の病気にはどのような物があるでしょうか?中医学で舌診(ぜっしん)というものがありますが、舌はその時々の体調等により色・形が変化します。舌の表面には「舌苔」(ぜったい)というものが見られることがありますが、汚れではありませんので無理にこすって取ろうとしないで下さい。舌の異常には、溝状舌(ちずじょうぜつ)、正中菱形舌炎(せいちゅうりょうけいぜつえん)、地図状舌(ちずじょうぜつ)、黒毛舌(こくもうぜつ)、舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)、病気には、舌がん(ぜつがん)、舌痛症(ぜっつうしょう)などがあります。国立がんセンターによる2015年のがん統計予測によると、日本では年間19500人が口腔・咽頭がん(こうくう・いんとうがん=口の中やのどのがん)になり、その約40%が死亡しているとされています。お口の中でがんが一番できやすい場所は「舌」です。早期の口腔がんの治療成績が80~90%と高いことから、早期の発見が大切と言えます。日本での死亡者数は最近20年で約2倍となっており、口腔がんの検診を含めた対策をしているアメリカ、イギリスなどでは死亡者数が減少傾向にあるとのことです。煙草を吸う方やお酒をよく飲む方は特に注意が必要です。例えば1週間以上たっても治らないしこり、はれ、口内炎があった時には早めに歯科医院で診てもらいましょう。首のリンパや肺への転移が起きやすいので注意が必要です。口の中は見えづらいところなので、歯科医院での年に2回の定期健診をお勧めします。

学会・研修報告

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